過去勝ち得た人々は言うけれど、
夢への尽きぬ想いは、並外れた弛まぬ練習を
やり遂げ、試練を超える活力の原動力になる。
それは彼らにとっては努力より寧ろ当然の鍛錬。
想いの深さが遂げさせたいとサポートを呼び込み、
自己能力とメンタルを磨きあげた先に、掲げた
夢を手にできる、ということなのだ、と思う。
だからこそ、
皆あれほどまでに笑顔が輝いている。
* * *
真央ちゃんの晴れ晴れとした表情での帰国
の姿に、想いに適ったオリンピックになったね、
と心から労える。
あの、ショートプログラム。
誰もが予測しない有り得ない結果で終わった
とき、絶望感と共に思った-神様はいるの?
真央ちゃんのお母様が天から見守ってくれて
いるはずなのに!どうしてこんなことになって
しまうのだろう、と。
フリーでは一転、真央ちゃんの不屈の気概で、
本人が「やりたかった演技」と言わしめたプロ
グラムを演じきった。氷上の彼女と共に "目撃"
した私達も万感の涙だった。心揺さぶられた。
どん底から蘇った自己最高点であり、何より
真央ちゃん自身会心の出来と実感したパフォ
ーマンスだったのだから。
そして、彼女の言葉を聞いて、漸く気付いた。
あのショートプログラムが齎したものは、
真央ちゃんのお母様の、天から我が子へ
惜しみなく注ぐ深い愛の想いだったのかと。
15歳頃から日本を背負い続けてきた真央ちゃん
の最後のオリンピックでは勿論、世界からも輝く
メダルが当然と期待されていた。
けれど、ショートで考えられない演技に終始した
ことで、メダル争いとは無縁の位置に-。
彼女はバンクーバーで味わった自身の演技に
対する悔しさと屈辱を「ソチオリンピックで完璧
な演技をする」目標に変え、糧にして、只管
この最後のオリンピックへと傾けてきた。
ショートの順位は、翌日のフリーの演技が、
メダル争いの「責務」を負うことなく「浅田真央」
として情熱の全てを全身全霊で打ち込める
格好の「舞台」に仕立てたのだ。
誰の為でもなく、ただ自分の想いを果たす為。
そう思うと、ショートプログラムの結果は、
真央ちゃんのお母様からの GIFT のよう。
愛しい娘の願いを叶えるべく、彼女が純粋に
自分自身の演技だけに集中せざるを得ない
状況へ導いたのではないか?-と。
(事実、キム・ヨナ選手よりも技術点は高かった)
真央ちゃん、
ちゃんと真央ちゃんの一番の想いに適うように、
お母様は、しっかり見守ってくれていたね。
* * *
この日のメダル争いは、「フィギュアスケート女子」
という柔らかな耳心地とは裏腹に、過酷な格闘技
のような熾烈さだった。
どの選手も「最高を尽くした」パフォーマンスで、
誰がどの輝きを手にしてもおかしくないような気迫
と見事な集中力。
男子のマイナスを数えた争いとは、異にしていた。
地元の利(声援を力に)もあってのメダル獲得も、
個人的には納得。
今までに無いほどの緊張感とどの選手も高度な
パフォーマンスを繰り広げ、睡魔との闘いも容易く
感じられるほど見入ってしまった。
その中には国の期待を10年近くも背負い続け、
それにきちんと結果で応え切るキム・ヨナ選手の
気高い精神力と隙のない確固たる演技-しかも
表現力が抜きん出ている-には、圧巻という他ない。
演技後の「終わった」と表情を緩めて語る言葉に
彼女の歩んできた長く苦しい歳月を垣間見た。
「お疲れ様。惹かれる美しい演技だったよ」。
* * *
羽生結弦選手へ
これからも以前の君のようにいて欲しい。
これからも以前の君のように応援し続ける。
この若さで金メダリストの称号は、この先ずっと
背負うであろう様々な重圧と、それと同じくらい
気まぐれなメディアに追われるだろう。
果てない向上心と客観的に自己に向き合う
芯の強さ、そしてピュアな心根を持っている
君だから、きっと自分をコントロールしながら
変わらずに自分を見失わず一層の高みを
目指していく-そう願っているし見守っている。
ただ、君は変わらずに歩んでいるつもりでも、
-本人は「自分は自分」と思っていても、意識
もそして立場も-君は既に「金メダリスト」と
いう輿に乗ってしまった。
自分の意思の利かないうちに、あらぬ方向に
行ってしまうという怖さも、今一度戒めておいて。
自身は単に佇んでいたとしても、いつの間にか
周囲の景色が変わっている、意思に関わらず
環境が変わってしまう、という恐ろしさを。
既に少し気負いがみえているから心配。
これまでもあらゆる分野で、
想わぬ栄光を手にした人たちが、
無意識の内に、我を失ってしまったことか。
重圧に負けてしまったことか。
そして、
怪我や長く険しいスランプにも襲われるだろう。
けれど、
君だからこそ乗り越えていけると信じている。
震災の経験を向上のエネルギーとした君だからこそ。
そういえば、君の想いも適ったね。
震災復興に役立つ為に金メダルを獲ると。
次のピョンチャンオリンピックで君の理想の4回転、
サルコーと目論んでいる新ジャンプ、を組み入れて
君が描く "最高を尽くしたパフォーマンス" の想いに
適いますように。
確かブライアン:オーサー氏に師事したのは、
当時既に十分な4回転ジャンプを跳んでいた
ハビエル・フェルナンデス選手のコーチだった
から、と語っていた(世間は金メダリストのキム・
ヨナ選手のコーチだからと言っているけれど、と)。
(その頃には小柄ながら存在感ある宇野晶磨君は
好敵手になっているだろう)
* * *
今回のオリンピックを区切りとする鈴木明子選手。
人となりがパフォーマンスに溢れていて、いつも観る者
の心が洗われていた。お疲れ様。
大ちゃん、そのパフォーマンスは言わずもがな。
貴方が想う会心の演技を3月に観られると信じている。
